原発事故から8年を経ても続く福島県の被災地の深刻な状況を、オペレッタや多彩なアニメーションなどを交え、陽気な騒ぎにくるんで描いた異色の作品。原発最前線の町・フクシマ県楢穂町の役場に出向を命じられた楠穀平は、上司となる役場の助役・村井に連れられ、津波で押し流された地区や、いまだ復旧しない鉄道、終わらない除染、セシウムが降り積もった帰宅困難地域など、各所を視察。フクシマの現状を目の当たりにする。後日、村井から、近々催される「原子力研究所副所長就任を祝う会」を円滑に楽しく進められるようにと言い渡される穀平だったが……。原発最前線の町で戸惑う主人公・楠穀平を、「影武者」「乱」など黒澤映画で知られる隆大介が演じ、町役場の助役・村井を映画や舞台、アニメ声優などで幅広く活躍する寺田農が怪演。「セシウムと少女」の才谷遼監督がメガホンをとり、劇中を彩るアニメーションは、眞賀里文子、伊藤有壱、ユーリー・ノルシュテインら多彩な才能が映像を提供した。